抜け毛が気になりませんか?脱毛症について
男性に多い男性型脱毛症、女性に多い女性型脱毛症。病名は近いですが、機序は全く異なります。
毛髪は成長期→退行期→休止期、そして新たな毛が成長期→退行期→休止期を繰り返しています。いまあなたに生えている髪の毛の85-90%は成長期にあります。退行期が1%程度、休止期が10-15%と言われています。休止
期の毛がシャンプーなどの際に抜けていくのです。
男性型脱毛症
男性型脱毛症は毛周期の中の成長期の短縮が原因です。そしてこの成長期の短縮の原因が男性ホルモンであるテストステロンであり、その代謝物であるDHT(ジヒドロ
テストステロン)です。テストステロンは5αリダクターゼによってDHTに変換されます。
DHTはテストステロンの約5倍の活性を持つため、ときには悪玉男性ホルモンと言われることもあります。これらの男性ホルモンのために成長期が短くなり、毛が十分に太く
長くなることができず、細い毛となり、従来の頭に生えている期間よりも早い段階で毛が抜けることになります。
テストステロンからDHTへの変換を阻止するのが、5α還元酵素阻害剤であるフィナステリドであり、デュタステリドなのです。男性型脱毛症に対する治療薬はフィナステリド
あるいはデュタステリドの内服が基本です。他の治療法としてはミノキシジル塗布剤があります。これは休止期にある毛髪を新たな成長期に移行させる作用、初期成長期から
後期成長期への移行促進に作用します。
当院での男性型脱毛症の治療は5%ミノキシジル塗布剤が基本で内服薬(フィナステリド)を併用します。毛髪治療は時間をかけて行うものです。治療効果が出るまでも時
間がかかります。半年治療を継続し、効果の実感があればそのまま継続します。効果の実感がなければ、フィナステリドをデュタステリドに変換し、治療を行います。デュタス
テリドの場合、頻度は低いものの勃起障害や乳房痛などの副作用があります。まずは副作用が少ない治療薬から開始します。
女性型脱毛症
一方の女性型脱毛症は女性ホルモンの減少や男性ホルモンの働きが優位になるために起こるとされていますが、原因は男性ほど単純ではないとも言われています。男性型の
場合は成長期が短くなりましたが、女性型の場合には休止期が伸びるために髪の毛が抜けやすいとされています。女性型脱毛症の場合にはフィナステリドが無効であること
が分かっています。
当院での女性型脱毛症の治療はミノキシジル塗布剤が主体となりますが、男性が5%製剤を使用するのに対して、女性は1%製剤を使用します。
当院ではAGA(男性型脱毛症)、FAGA(女性型脱毛症)を取り扱っております
私が開業するにあたり、A G A・F A G Aを扱うことを周囲の人に伝えたときの反応は「なんで泌尿器科の先生が扱うの?」、「三次市にもついに登場しましたね」、「この資格はもしかして頭皮を見たりするやつ?」…この3つ の質問が多かったです。

なんで泌尿器科の先生が扱うの?
男性型脱毛症で使う内服薬はフィナステリドとデュタステリドの2つになります。いずれの内服薬も前立腺を小さくする薬として使用されている薬です。残念ながら、保険収載しているのはデュタステリドだけです(フィナステリドは国内で保険収載がありません)。デュタステリドは通常の診療の中で使用してから20年くらいになると思います。使用経験は数えきれないくらいあります。
三次市にもついに登場しましたね
以前三次市にもアデランスがあったそうです。また、AGAクリニックのような専門クリニックもありません。でも実際に困っている人・悩んでいる人は多くいます。周囲の人にクリニックカードを渡していると、「自分の親戚はみんなはげているので、自分も心配していました」と言われる方が多くいらっしゃいました。提供できるところを、しっかりと必要な人に提供することが大切だと思います。
この資格はもしかして頭皮を見たりするやつ?
私は泌尿器科医でもありますが、毛髪診断士でもあります。開業を決め、AGA・FAGAを取り扱うことを決めガイドラインなどを読んでいると大変興味深い分野であると思いました。さらに調べていると毛髪診断士という資格があり、毛髪について一通り勉強できるものと知ることができました。勉強している中でアンチエイジングが大切であること、また見た目のアンチエイジングも大切であることも知りました。頭皮の状態を把握したうえで治療が大切であること。円形脱毛症とは全く病態が異なり、必要なときには皮膚科医との連携が大切であることを知りました。