前立腺がん早期発見と予防

2025.10.02

前立腺がんを公表している芸能人・有名人は多くいます。間寛平、西川きよし、三谷幸喜、西郷輝彦、宮本亜門など。今回は前立腺がんについてです。

男性で最も多いがんは何でしょうか?

2021年の統計では男性の癌統計の中では前立腺がんが最も多くなっています。(1番というと泌尿器科医としてちょっとうれしいような気もします。)ただ、他にも胃がん、大腸がん、肺がんも多くあり、top4というイメージです。

では、年次推移ではどうなっているのでしょうか?1995年以降から前立腺がんは急上昇をしており、2020年くらいに男性で一番になっています。先ほどの他のtop4は2015年くらいで頭打ちのような形になっているのに対して前立腺がんはまだしばらく増加傾向が続くことが想定されております。頭一つ抜けた感じになりそうですね。

では、がんの死亡数はどうでしょうか?肺がんがダントツのトップになっています。およそその半分が胃がん、大腸がん、さらにその半分が前立腺がんとなっていますね。top4の中では前立腺がんの死亡者数が少なくなっており、これは泌尿器科医が頑張っているためと考えたいところですね!

前立腺がんの5年生存率は?

前立腺がんが男性の中で最も多いけれども、死亡数は肺がんの1/4程度。5年生存率は98.8%と報告されています。四捨五入してしまえば、99%です。(ドラマがあったのは99.9%でしたね。ちょっと違います。)がんと言えば、ドラマではものすごい重たいシーンで描かれますが、実際のところ少しイメージが異なるかもしれませんね。(早期がんは治る時代ともいわれていますから、早期発見が大切です!)

こんなに成績が良いのは早期がんがものすごい多いためでしょうか?前立腺がんの病期Ⅰ、Ⅱ、Ⅲまでは5年生存率100%でⅣが61.3%になっています。ある程度の進行した状況であったも、しっかり治療をすれば、5年の生存は大丈夫というところですね。前立腺がんはがんの中でも予後が良いです。

前立腺がんの症状は?

この質問よくされます。前立腺がんは早期に発見されることが多いので、症状は無いと考えてよいと思います。ただ、ときに検診などを受けていなくて、、、という場合には血尿、おしっこの出にくさ、腰痛(骨に転移しての痛み)が昔ながらの症状として有名です。早めの受診が大切です。

前立腺がんの予防

残念ながら、現在のところ前立腺がん特有の予防法は確立されていません。ただがん全般に予防のためには禁煙、飲酒を控える、バランスの良い食事、適度の運動、適正な体形の維持、感染予防が有効とされています。日本泌尿器科学会では年に1回のPSA検診が大切としております。

確立された予防法はないのですが、前立腺がんのリスクを下げた報告はあります。それは野菜、果物、イモ類、大豆食品、魚などを摂取した人たちは他の食生活に比べて前立腺がんのリスクを下げたというものです。逆に肉類、加工肉、パン、果物ジュースといった欧米型の食事は前立腺がんのリスクを上げたと報告されています。食品単品では大豆、アブラナ科の野菜、トマトが良いとされています。

最近抗加齢学会では地中海食を推奨しています。地中海食ピラミッドを見たことはありますか?

下のものほど毎日摂取し、上のものは月に数回摂取というものです。この地中海食は認知症、生活習慣病、動脈硬化、多くのがんにも有効とされています。この中に先ほどのトマト、豆類は毎日摂取するものとして挙げられておりますので、今後は地中海食を意識しておくのが良いと思います。牛肉・豚肉は月に数回で良いとのことです。(病院の立地から昼ご飯が『すきや』になりがちな私には頭が痛い問題です。)先ほどの前立腺がんのリスクを上げるところで欧米型と表現しましたが、正確にはアメリカ型の食生活はリスクが高く、南ヨーロッパの食生活はリスクを下げる。さらに意識することとしてこの地中海食一番下の部分には毎日の運動、誰かと食事を楽しむことなども挙げられています。食事だけでなく、運動も毎日がんばってやりましょう。

WEB予約
WEB予約 電話